Big Phillのダンス哲学

ダンスの本質を100年先までに伝える定義の再構築

ダンスの始まりはアートではない

こんにちわ、BIG PHILLです。
本日はダンスの起源について簡単に振り返りたいと思います。

 

ダンスの起源

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アルタミラ洞窟(スペイン北部)の壁画

現在では「音楽を表現する」が一般的なダンスへの概念ですが、実はもともとは身体の動きそのものが伴奏として機能する「無音楽舞踊」が起源です。

それは自己表現の為ではなく、
宗教儀式や豊作を願う「祈り」でした。

もっとも古い記録では、
旧石器時代(約3万8千年前から1万6千年前の約2万2千年間)のアルタミラ洞窟(スペイン北部)の壁画にまで遡ります。

また、豊作祈願の踊りでよく見られる「足踏みでのリズム取り」が起点となって「ドラ」や「太鼓」のような打楽器が誕生したとも言われています。

例を挙げると、日本の盆踊りもその内の一つです。祖先の霊を祀る行事である「盆」に人が集まった時、また、秋の収穫の時期にも行われます。

韓国・朝鮮の農楽舞や中国のヤンガー(秧歌)も収穫に関係したダンスであり、以前行った事のあるニューカレドニアでは、大地の神に豊作祈願をする際、地面を踏んでダンスをすると、原住民の部族の者からも聞いています。


 

いつからダンスは芸術に昇華したのか?

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パロ


時は14世紀に移り、古代ギリシア文化を復興しようとするルネッサンスという文化運動がイタリアで始まりました。

この時期に、宮廷の余興の一つとして「パロ」というダンスが、今の「バレェダンス」の起源となっています。

のちのちこのパロに対し、あのレオナルド・ダ・ヴィンチが衣裳を担当したり、ジョヴァンニ・ジャコモ・ガストルディドメニコ・ダ・ピアチェンツァが作曲したりと、様々な芸術家が作曲や舞台製作に関わる事で、パロは一つの芸術作品に昇華して「バレェ」となり、やがてイタリアの貴族の間で盛んに開催される舞踏会の中で、一つのコンテンツとして好まれて組み込まれるようになります。

 

hiphopの起源

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soul train (1971~2006)

1920年に民間企業によるラジオが世界で初めて誕生し、1935年にテレビ放送も誕生します。これをきっかけに、「メディア」によって加速する音楽の進化にさらに拍車がかかりました。

ダンスもその影響を受けて、音楽との融合性が高まって行くと同時に、ますますエンターテイメント性が増していきます。

jazz→funk→oldskool hiphopという音楽の流れに沿って、ダンスもswing/bebop→lock→bboyingといった風に変化していきました。

1971年に始まったSoul trainに出演したThe Lockersから始まり、それに影響を受けたElectric Boogalooslockを始めたが後にPoppingを誕生させます。同じ頃、ブロンクスではRock Steady Crewを始め、さまざまなbreakdanceCrewが生まれます。

当時ダンスを誕生させた少年少女たちは、今や60歳前後の年齢となりました。

そんなThe LockersのメンバーであるAlpha(日本でシフトという、両手を後ろに倒し、片足を蹴り上げる動きを作った人、技の正式名称は本人の名前がそのままつけられ「アルファ」)は、70年代の当時をこう振り返ります。

" 私達はhiphopという言葉をRapper's Delightという曲ががリリースされるまで聞いた事もなかったよ。(笑)同じ時代にほぼ同時に生まれたダンスなので我々のlockもhiphopの中に入れられたりする事もあったり、breakin'という映画の影響でそう思った人も多いようだが、実際はもともとhiphopというモノは存在せず、あるのはstreet danceのみだった。厳密にはlockやpopはclubで生まれたダンスでありshow向けのダンスなので、street danceですらないとも言える。breakin'(映画)では見栄えとストーリー上の都合でバトル形式を取っていたが、実際にバトルをするのはbboyingのみであって、ストリートダンスもbboyingが起源となる。"



人間にとってのダンスとは?

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African dance

このように、ダンスには30000年以上の歴史があり、その体系は祈りから芸術、そして芸術からエンタテインメントに移行していきました。

ちなみに南アフリカでは、リズムに乗った状態を一晩中続ける事で「意識変容」させ、神から癒やしのエネルギーを貰い、病に侵された人のヒーリングを行う部族も存在します。

「意識変容」とは、トランス状態の事で、意識変性物質として知られるマリファナアヤワスカを摂取する事で「時間を超越した意識に到達する事」を指します。

脳科学の観点でも、我々人間は一定のリズムを取る事で、脳内でセロトニンが分泌され、覚醒状態になる事がわかっています。

実際に私自身もバトル中、肉体が思考を超越し、知らない筈の音を正確に捉え、技を決めた経験は一度や二度ではありません。

技が音にハマって体感する時間が数秒程止まった後、観客の歓声で我に返ってようやく置き去りにされた思考が肉体に追いつきます。

このような「時間を超越した超感覚(トランス状態)」ダンスの関連性は、一体何を物語っているのでしょうか?

ダンスが生まれた理由に「祈り」が関係しているとすれば、「祈り」と「トランス状態」にはどういった関係性があるのでしょうか?

なぜ現代のように食事が確保されていないその日暮らしである旧石器時代の人達は、莫大な体力を削って危険を冒してまでトランス状態に入り、神と繫がろうとするのでしょうか?


そもそもダンスとは一体なんなのでしょうか?

そんなダンスの本質を理解する為に、
このblogでは、ここらへんから切り込んで行きたいと思います。

 


本日は以上です。
最後までお読み下さり誠に有難う御座いました。
それでは、また!

 

 

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